メタボ脱出大作戦
統合失調症とメタボの関係、その対策について紹介します。
はじめに

皆さんは、メタボリックシンドロームという言葉をきっと耳にしたことがあるでしょう。メタボリックシンドローム(メタボ、と省略して用いられることが多くなりましたが)とは、内臓の周囲に脂肪がたまり、さらにいくつかの生活習慣病が重なった状態のことを指しますが、放っておくと命に関わる重大な病気に至る可能性がきわめて高くなるため大変危険な状態と言えます。
日本では、40~74歳の2000万人以上、男性の2人に1人、女性では 5人に1人が「メタボ疑い」または「予備軍」にあたると推定されます*。統合失調症の方は一般人口に比べてメタボになる確率が高いといわれていますから、特に注意が必要です。
*厚生労働省「2007 年国民健康・栄養調査」
このwebコンテンツでメタボについての理解を深め、メタボになりにくい生活習慣を身につけましょう!
メタボってなに?
メタボの診断では、まずウエスト周囲径を測って内臓脂肪型肥満かどうかを評価します。これに加えて、高血圧、高血糖、脂質異常の診断基準のうち2つ以上が該当するとメタボと診断されます。単に太っているだけでメタボとは言いません。
肥満、高血圧、高血糖、脂質異常のうち、3つ以上が重なると、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)の発症リスクが約30倍になることが報告されています。また、喫煙も虚血性心疾患のリスクを高めることが報告されています。
メタボの診断基準(日本)

危険因子の数と虚血性心疾患発症のリスク

メタボになったらどうなるの?
メタボは食べすぎや飲みすぎ、運動不足といった長年の生活習慣の乱れから肥満となり、高血圧、高血糖、脂質異常が引き起こされると、動脈硬化が進んで心筋梗塞や脳梗塞などの死に至る可能性のある疾患を引き起こします。
また、糖尿病になると、その合併症として腎症(透析の恐れ)、網膜症(失明の恐れ)、神経障害(下肢切断の恐れ)を起こす可能性があります。このように、メタボは恐ろしい病気の連鎖につながる引き金ともいえます。

こんな人は危ない・・・あなたは大丈夫?
いま、あなたがメタボの診断基準に当てはまらないといっても安心はできません。メタボになりやすい生活習慣があると、近い将来にあっという間にメタボになってしまうかもしれません。メタボになりやすい生活習慣がないかどうか、下のチェックリストで調べてみましょう。
あなたのメタボ危険度をいますぐチェック!


青の項目が多い人・・・食事の乱れ
暴飲暴食、甘いものや塩っからいもの、脂っこいものが多いとメタボになりやすくなります。
また、過度の飲酒や偏った食事、不規則な食生活も要注意です。

橙の項目が多い人・・・運動不足
運動不足になると太りやすくなり、肥満の原因となります。また、肥満になると身体を動かすのがおっくうとなってさらに運動不足となる悪循環に陥りやすくなります。

緑の項目が多い人・・・生活習慣の乱れ
夜ふかしなどの不規則な生活習慣やストレスがたまりやすい生活習慣はメタボを促進する要因となります。また、喫煙の習慣があるとメタボになりやすくなります。
あなたは何項目にチェックがつきましたか?
チェック項目が多い人ほどメタボになるリスクが高いため注意が必要です!
今日から始めるメタボ脱出大作戦
メタボの予防のためには、あなたのメタボ危険度をいますぐチェック!に該当した項目を毎日の生活からできるだけ減らしていく努力をすることが大切です。
食事の見直し

定期的な運動

生活習慣の改善

それでも改善しないときは・・・・・
場合によってはメタボの治療が必要かもしれません
→メタボの治療が必要なレベルかどうか、主治医の先生に相談してみましょう。
メタボを引き起こしやすい治療薬を服用していませんか?
→メタボを引き起こしやすい治療薬を服用している場合には、その対応について主治医や薬剤師と相談してみましょう。
統合失調症におけるメタボのリスクって?
精神疾患にかかっているとメタボになりやすいことが知られています。
そのリスクとしては、精神疾患にかかると食生活や生活習慣が乱れがちになること、また精神疾患の治療薬のなかにはメタボを引き起こす可能性のあるものもあります。
精神疾患に関連したメタボのリスク

統合失調症によるメタボのリスク
統合失調症患者におけるメタボの有病率・一般人口に比べたなりやすさ

統合失調症患者さんのメタボのリスクは一般人口の2〜3倍!
抗精神病薬によるメタボのリスク
第2世代抗精神病薬を服用した患者さんのメタボ合併率

抗精神病薬の服用によりメタボのリスク※が高まります
※
このリスクは薬剤により異なることが知られています。
American Diabetes Association : Diabetes Care 27, 596-601. 2004.
抗精神病薬を飲んでいるあなたへ
●安全に治療を続けるために、あなたができること
メタボや糖尿病に関する情報を主治医や医療スタッフと共有してリスク管理することは、安全に治療を受けるためだけでなく、治療薬の選択肢を広げるためにも重要です。
処方を受ける前に
以下の項目に「はい」がある場合は、主治医や医療スタッフに速やかに伝えましょう。

処方が始まってから
*定期的に体重や胴囲を測定して、自分の体重や体型の変化を意識するようにしましょう。
→急に体重が増えたり・減ったりするようなことがあったら、主治医や医療スタッフに伝えましょう。
*血液検査も定期的に受けて、メタボチェックを続けましょう。
自分の検査データを知っておこう
あなたの検査データ値を記入してメタボチェックしてみましょう。
あなたの肥満度(BMI)を計算してみましょう!
詳しくはこちら

※1
2012年4月1日以降の国際標準化に基づく数値です。

基準値を超える項目があった場合は、主治医または医療スタッフに相談しましょう。
資料ダウンロード
「すまいるナビゲーター」のコンテンツをまとめた、統合失調症ブックレットシリーズ(No.1~No.6)のPDFと各ブックレットの解説用パワーポイントファイルを掲載しています。ダウンロードしてお使いください。