仕事と介護の板挟み…
でも大切なのは介護するあなたの人生。

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仕事と介護の両立の悩み

介護が始まると、「仕事を辞めようかどうしようか」と多くの人が悩みます。ですが、辞めても状況が好転するとは限らず、特に経済面での負担や不安は大きくなり、精神的・身体的な負担も増大します。早期の退職は退職金や将来受給する年金にも影響し、自分自身の老後にも関わってきます。
親は何よりも子どもの幸せを願っています。ですから、まずは自分の生活のことを考えましょう。「知識を持つ」「ひとりで抱え込まない」「職場の理解と協力」、この3つがあれば何とかなります。そして「仕事を続けたい」というあなたの強い意思も大切です。

介護離職

介護離職

母が認知症と診断されたので、すぐに仕事を辞めました。今から思うと介護保険を使いながら、働けたのにと思います

介護離職

「親の介護は今しかない」と仕事を辞めました。一日中認知症と向き合う中で、私がうつ病になってしまい介護どころではなくなりました

介護離職

仕事をしていると、認知症の母から頻繁に電話がかかってきます。1日に何十回もです。辞めて母の側にいたほうがいいのではと迷っています

介護離職

私も電話攻撃に悩まされました。たいした用事でないので、途中から出るのをやめました。本人はかけたことを忘れているので大丈夫ですよ

「ほかに介護する人がいない」という理由で介護離職をするケースは少なくありません。ですが、いざ辞めてみると「こんなはすではなかった」と感じる方も少なくありません。社会とのつながりが減り、焦りや孤独を感じることもあります。
まずは、自分のワークライフバランスについて考えてみましょう。「仕事を優先したいのか」「仕事と介護を両立したいのか」。仕事を優先したい方は、最初から施設入所を想定して、費用を準備しておくと安心です。両立したい方は、認知症や介護保険の知識を身につけ、サービスを上手に活用しながら「やってみる」ことが大切です。

会社・同僚との関係

会社・同僚との関係

会社では介護の話をする雰囲気でもなく、言うと辞めさせられるのでは…と思うと介護をしていることを会社に言えないでいます

会社・同僚との関係

私は、状況を知ってもらっておくことが大切と思い、会社で介護の話をするようにしています。介護が始まったと相談に来る同僚もいます

会社・同僚との関係

母の介護があり、仕事が忙しくても欠勤や早退をするため、同僚に仕事のしわ寄せがいき申し訳ないです。いい顔をしない人もいて辛いです

会社・同僚との関係

要介護1の父を介護していた母が倒れたので、仕事をリモートにしてもらいました。上司も介護をしているので、理解があり助かっています

職場に介護のことを話せず、ひとりで抱えている“隠れ介護者”はまだまだ多くいます。しかし、介護者は急増していますので今後ますます仕事と介護の両立は大きな課題になります。
介護離職は企業にとっても人材の損失となり、介護を理由に解雇はできません。
後に続く人のためにも、ぜひ介護していることを伝え周りの協力を得て、社内での両立の道を拓きましょう。やむを得ず急な遅刻、早退、欠勤などで会社や同僚に迷惑をかけ、肩身の狭い思いをすることもあるでしょう。ですが、遠慮しすぎないことも大切です。もちろん、できる範囲で自分の仕事をきちんとこなす姿勢も忘れずに。

施設入所

施設入所

遠距離介護で母を看ています。ひとり暮らしが難しくなり、私も仕事があるので、入所を考えています。実家か私の近くかで迷っています

施設入所

母は有料老人ホームに入っています。週2回ほど仕事帰りに寄ります。通いやすいほうがいいと思いますよ。急な呼び出しにも対応できるし

施設入所

私は自分にがんが見つかりました。治療のことなど先を考えて母にはグループホームに入所してもらいました。仕事も続けています

施設入所

施設入所を考えていますが、特別養護老人ホームは要介護3からしか入れないし、有料老人ホームは高いし、親の貯蓄は少ないし、頭が痛いです

「施設には、いつ入ったらいいの?」介護が始まった家族からよく聞かれる質問です。入所のタイミングは人それぞれですが、「もう無理」と、在宅介護の限界を感じたら躊躇せず施設入所を検討しましょう。
介護する方が元気でいてこその介護です。介護をしてもらう方も、あなたの疲れた顔より、元気で幸せそうな顔を見るほうが嬉しいでしょう。少し離れてみると優しい気持ちで向き合えることもあります。
「介護はプロに、家族は愛を」です。自分自身の時間を大切にしましょう。家族が疲弊するほど介護することが必ずしもご本人にとって幸せではありません。

施設:施設には、グループホーム、介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム(住宅型、介護付き)、サービス付き高齢者向け住宅など、さまざまあります。それぞれの施設の違いや利用できる介護度、費用などを事前に調べておきましょう。

制度の活用

制度の活用

自分の将来を考えると会社は辞めたくないので、人事に相談しています。会社も介護の制度を使うのは私が初めてなので手探り状態です

制度の活用

私はシングルで介護しています。年間で5日介護休暇が時間単位で取れるので、使いやすくなりました。有給と介護休暇をフル活用しています

制度の活用

先月、母を在宅で看取りました。看取りに入ってから「介護休業」を取り1ヵ月ほど使いました。最後に母と一緒に過ごせてよかったです

制度の活用

妻が若年性アルツハイマーとわかり、単身赴任から戻してもらいました。残業がない部署に配置転換してもらいましたが、給料はずいぶん減りました

まずは、職場の総務や人事の担当者に相談し、介護に関する制度について確認しましょう。育児・介護休業法※1や就業規則も調べ、介護休業※2や介護休暇※3、有給休暇などをうまく活用しながら介護を乗り越えましょう。
また、会社の制度だけでなく、要介護者が扶養に入っていれば障害者控除※4(要介護1以上)が受けられたり、認知症の方の医療費の減額制度などもあります。こうした情報を知らないと損をしてしまうこともたくさんあります。介護保険以外に使えるサービス(配食サービスなど)もいろいろありますので、ケアマネジャーに仕事をしながら介護できるケアプランを立ててもらいましょう。

※1

育児・介護休業法:育児や介護と仕事を両立できるよう、休業・休暇・勤務制度などを定めた法律です。

※2

介護休業:家族の介護のために対象家族1人につき3回まで、通算93日まで休める、育児・介護休業法で定められた制度です。

※3

介護休暇:家族の介護や通院の付き添いなどのために、対象家族が1人の場合は年5日まで、2人以上の場合は年10まで、1日または時間単位で休める、育児・介護休業法で定められた制度です。

※4

障害者控除:ご本人や家族に障害がある場合に、所得税や住民税が軽減される制度です。障害者手帳を取得している方や、要介護1以上の方が対象となる場合があります。

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