• 絶望感から孤立

    絶望感から孤立

    認知症と診断されてからずっと自室に引きこもって…

    ご家族の困りごと
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    この先、家族に迷惑をかけるくらいなら、消えてしまいたい…

    認知症の方の気持ち
    認知症の方の気持ち
このようなとき、どうする?
このようなとき、どうする?

01

気持ちを理解し、
安心できる環境を整えましょう

「いてくれるだけでうれしい」そんな一言が心の不安を和らげます

認知症と診断された後、ショックや絶望感から自室に引きこもり、外との関わりを断とうとする方は少なくありません。こうした行動は、認知症に伴う抑うつ状態の一つと考えられ、表情が乏しくなる、口数が減る、「迷惑をかけている」を繰り返し言うなどの症状が見られることもあります。

家族としては「外に出て元気になってほしい」と思うのが自然ですが、無理に行動を促すと逆効果になることもあります。将来への不安や家族に迷惑をかけることに対する罪悪感を抱いている場合、まず「心の安心」を取り戻すことが大切です。

「困ったことがあったら、いつでもそばにいるからね」と、不安な気持ちに寄り添いながら、安心感を与える言葉をかけましょう。また、「そんなこと思わないで」と否定するのではなく、「いてくれるだけでうれしい」と、存在そのものを肯定する言葉が、不安や罪悪感を和らげる助けになります。ご本人が安心できる環境をつくることが、抑うつ状態からの回復に向けた第一歩になります。

02

日常の小さなやりとりから、
つながりを築いていきましょう

無理なく取り組める活動をきっかけに、触れ合う時間を増やしていきましょう

抑うつ状態から抜け出すためには、安心できる環境を基盤として、「自分にできることがある」と感じられる機会をつくることが大切です。簡単な家事や趣味など、無理のない範囲で取り組むことで、「できた」という実感が積み重なり、自信の回復につながっていきます。また、こうした関わりの中で、閉ざされていた気持ちがほぐれ、絶望感を和らげるきっかけにもなります。

少しずつ意欲が見られるようになってきたら、家族や身近な人とのコミュニケーションを増やしていきましょう。無理に外出を促すのではなく、安心できる人との交流の中で、徐々に人との関わりに前向きになれるよう支えていきましょう。ご本人の回復状況に応じて、デイサービスなど外部との関わりを検討するのもよいでしょうが、まずは家庭内での小さな一歩を大切にしてください。

ただし、ここに挙げた出来事は一例に過ぎません。理由や対処法は一様ではありませんので、認知症の方それぞれの状況や気持ちに応じて、柔軟に対応することが重要です。

03

健康面のケアも心がけましょう

食事を摂らないときは、
食べやすい「おやつ」を用意するのも効果的

抑うつ状態が続くと、心だけでなく体の健康にも影響が出てきます。気分の落ち込みにより、食欲の低下や生活リズムの乱れが生じることがあり、特に食事がとれない状態が続くと、栄養不足や脱水のリスクも高まります。

このようなときは、小さなおにぎりや果物、ヨーグルト、スープなど、消化が良く食べやすいものやご本人の好みのものを用意し、「一口だけでもどう?」と声をかけてみましょう。無理に三食きちんと食べさせる必要はなく、「少しでも食べられたらOK」という柔軟な姿勢が大切です。また、水分補給もこまめに促しましょう。飲み物の種類や温度にとらわれすぎず、そのときの体調や気候などに合わせて、飲みやすいものを選ぶことが大切です。

04

家族の気づきを主治医に伝えましょう

「最近元気がない」「表情が以前より少なくなった」など、気になる様子があれば、ためらわず主治医に相談してください。抑うつの兆候を早く察知することで、適切なケアや治療につなげることが可能です。「うまく伝えられない」「何を話せばよいかわからない」という場合は、ケアマネージャーに相談内容を整理してもらうと安心です。ケアマネージャーは主治医への橋渡しとしても大きな力になります。

主治医には「最近笑わなくなった気がする」「食事を残すようになった」といった日常の変化を、率直に伝えるだけで十分です。家族の支えはとても心強いものですが、無理に抱え込まず、周囲の支援を上手に活用しましょう。

解決の糸口は、
主治医への相談から

主治医に相談する際のポイントをまとめました。

認知症 困りごとナビ 相談シートを見る

こちらにご紹介した症状および対処法は一例であり、すべての方に当てはまるわけではありません。個別の状況に応じた対処法は異なりますので、このような症状でお困りの方は、ぜひ主治医に相談してください。
主治医に相談する際のポイントをまとめた、こちらの「相談シート」をぜひ活用してください。

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