• 何度も同じことを要求する

    何度も同じことを要求する

    ご飯の後、洗い物をしていると「ご飯まだ?」と何度も聞くんです

    ご家族の困りごと
    ご家族の困りごと
  • 何度も同じことを要求する

    何度も同じことを要求する

    娘が台所にいるんだから、ご飯の支度をしているに違いない

    認知症の方の気持ち
    認知症の方の気持ち
このようなとき、どうする?
このようなとき、どうする?

01

穏やかに繰り返し伝えることからはじめましょう

同じことを繰り返し要求するのは、記憶障害などが原因。不安や家族とのつながりを求めるサインかも

認知症の方が同じ要求を繰り返すことは、記憶障害や状況の誤解が原因で起こる場合があります。こちらに示したような状況に直面すると、「さっき食べたばかりでしょ!」と感情的に反応してしまいがちです。しかし、繰り返しの要求には、不安や家族とのつながりを求めるサインが隠れている場合もあります。そのため、感情的な対応は避けて不安を和らげる言動を心がける必要があります。

感情的になった後は、後悔したり罪悪感を抱いてしまうこともあります。同じ要求が繰り返されるとイライラしてしまうこともあるかもしれませんが、その都度冷静に対応しましょう。何度も食事を求められる場面では、「ご飯を用意しようと思うけど、何が食べたい?」といったように、いったんは本人の気持ちを否定せず受け止める声かけが効果的です。認知症の進行に伴い、食べたという感覚が残りづらくなり、満腹感を得られにくくなっている場合もあります。何度も食事を求めるのは認知症の症状によるものだと理解し、共感の姿勢を持つことが大切です。

02

食後の決まった流れをつくりましょう

少量のデザートを出すと「食事の終わり」という認識につながります

何度も食事を求めることが続く場合は、食後に少量のデザートを出してみてもよいでしょう。口さみしさを紛らわせるだけでなく、食後にデザートを食べるという習慣をつくることで、「デザート=食事の終わり」という認識を持ちやすくなります。たとえば、無糖または低糖のヨーグルトやバナナやリンゴなどは比較的低カロリーで消化もよいので、少量であればおすすめです。また、デザートではありませんが、お茶などの飲み物も水分補給になるのでよいでしょう。

さらに、食後すぐに食器を片付けてしまうと、「まだ食べていない」と感じやすくなることもあります。そこで、食後しばらくは食器をそのまま残しておくことで、視覚的に「食事は終わった」と認識しやすくなります。食器を片付けるタイミングを数十分遅らせるだけでも、再度の食事要求が減ることがあります。

ほかにも、食後に散歩に行く、ニュースを観る、といった食後のルーティンを取り入れることも効果的です。認知症の方は、生活の変化に不安を感じやすいため、日々同じ流れを繰り返すことで安心感を得やすくなり、生活のリズムを整える助けになります。

ただし、こうした工夫がすべてのケースで効果的とは限りません。認知症の方それぞれの状況や気持ちに応じて、柔軟に対応することが重要です。

03

心に余裕をもつことを意識しましょう

繰り返される要求にイライラしてしまったら、ほかの家族や友人に話して吐き出しましょう

同じ要求を何度も繰り返される状況に直面すると、「何をしても解決しない」と感じ、心に余裕がなくなってイライラしてしまうこともあります。そのいらだちから、認知症の方にきつく当たってしまうこともあるでしょう。そのようなときは、深呼吸などをして気持ちを一旦落ち着かせてみましょう。そして、ひとりで抱え込まずに周りの人に頼ることも大切です。「疲れたらほかの人に任せよう」、「イライラしてしまうのは無理もない」といった意識を持つことで、少しずつ心に余裕が生まれてくることもあります。ひとりで抱え込むと、孤独感が増し、いらだちをさらに強めてしまいかねません。ほかの家族や友人、ケアマネージャーなどに相談し、悩みを共有することが大切です。

相談する際は、「食事の後に何度も『ご飯まだ?』と言われるのがつらい」、「答えるたびにイライラしてしまう」など、具体的な状況や自分の感情を率直に伝えるとよいでしょう。こうすることで、相手に状況を正確に理解してもらいやすくなり、共感やアドバイスを得ることができます。

主治医に相談する際のポイントをまとめました。

こちらにご紹介した症状および対処法は一例であり、すべての方に当てはまるわけではありません。個別の状況に応じた対処法は異なりますので、このような症状でお困りの方は、ぜひ主治医に相談してください。
主治医に相談する際のポイントをまとめた、こちらの「相談シート」をぜひ活用してください。