妊娠や出産、子育てについて
こころの不調を抱える方が、妊娠・出産について考えるとき、赤ちゃんへの影響などが心配になることがあるかもしれません。妊娠を計画する前から心身の健康管理や生活習慣の見直しを行うことで、より健やかな妊娠・出産・子育てにつなげる取り組みが注目されており、「プレコンセプションケア」と呼ばれています。
監修:根本 清貴 先生
筑波大学医学医療系
医療情報マネジメント学・精神医学
教授
1.プレコンセプションケアってなんですか?
プレコンセプションケア(Preconception
care)*は、「すべての女性とそのパートナーや家族が、将来のライフプランを考えて、日々の生活や健康と向き合うことで、現在の自分の健康だけでなく、将来の自分とその子どもの健康につなげていく」という考え方です。
プレコンセプションケアは、妊娠したいと考えている女性だけではなく、思春期以降、妊娠する可能性のあるすべての女性に必要です。そして、女性の健康を支えるパートナーやご家族にも知っていただきたいことです。
*プレ(pre)は「~の前の」、コンセプション(conception)は「妊娠・受胎」という意味で、プレコンセプションケアは「妊娠前からの健康管理」を意味します。
プレコンセプションケアの目的は、3つあります。
2.なぜ、プレコンセプションケアが必要なのですか?
人生100年時代を生きるために、男女ともに若いうちからの健康管理が生涯にわたる健康と質の高い生活につながります。
中でも、以下の3つの背景から、プレコンセプションケアを行うことが重要になります。
3.プレコンセプションケアでは、どんなことが勧められていますか?
適正体重を保ちましょう
極端な「やせ(BMI18.5未満)」や「肥満(BMI25以上)」は、骨密度低下や糖尿病などの病気のリスクを高めるだけでなく、不妊や妊娠中・出産時合併症のリスクも高めます。男性の肥満も不妊のリスクを高めるといわれています。
バランスのよい栄養を摂りましょう
毎日3食の中で、5大栄養素(炭水化物・タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラル)をバランスよく摂ることが大切です。
特に、ビタミンのひとつである「葉酸」は、妊娠前から摂取することが推奨されています。
たばこ、アルコールを減らしましょう
たばこは、女性ホルモンの分泌を抑えたり、胎児の発育に悪影響を及ぼしたりします。また、妊娠中の飲酒は、赤ちゃんの先天異常や発育不全などのリスクになります。
睡眠リズムを整えましょう
睡眠リズムが不安定になる原因は、生活リズムや薬の影響などさまざまです。日中に運動や身体活動を増やすことを意識してみましょう。
「できるかな?」と不安に思っているあなたへ
食生活、生活習慣の改善など、「プレコンセプションケアって難しい」と思っていませんか?でも、心配することはありません。まずはご自身の毎日の生活を振り返ってみて、できそうなことから少しずつ取り組んでみましょう。例えば、エスカレーターではなく、階段を使ってみる、就寝時間を決める、寝る前のスマホ利用をやめてみる、昼食のお弁当にコンビニのサラダを追加してみるなど、ちょっとしたことを変えてみるだけでもプレコンセプションケアの第一歩と言えます。
4.お薬を飲んでいる、これから飲み始める場合には、どうしたらよいの?
妊娠を考えるときは、医師や看護師、薬剤師に何でも相談してみましょう。
自分の判断で服薬を止めたり、通院を止めたりしないようにしましょう。
「こころの不調や病気と妊娠・出産のガイド 一般の方向け」(監修:日本精神神経学会・日本産科婦人科学会)では、妊娠・出産、子育てと薬についてまとめられているので、参考にしてみてください。
こころの不調や病気と妊娠・出産のガイド(一般の方むけ)
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精神科の薬を飲んでいますが、妊娠することはできますか?
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妊娠することができます。妊娠を希望している場合やすでに妊娠している可能性がある場合には、まずは精神科の主治医に相談してみることが大切です。一部の薬を除き、多くの精神科の薬は赤ちゃんの健康に危険を及ぼすことはないと考えられています。ただし、薬によっては副作用により排卵やホルモンバランスに影響して妊娠しにくくなる可能性があります。心配や不安がある場合には、主治医に相談して薬を調整してもらいましょう。
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妊娠したので、薬をやめてもいいでしょうか?
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妊娠中に限らず、薬は自己判断でやめてしまうことで病気の症状が悪化したり、予期せぬ症状が出現したり、さまざまな悪影響を生じる場合があります。必ず主治医に相談しましょう。服薬を続けながら妊娠・出産することはできますし、お母さんの病状が悪くなってしまうことは赤ちゃんにも悪影響を及ぼします。パートナーや周囲の人は、本人が正しく服薬を続けられるようにサポートすることが大切です。薬についての不安や心配がある場合には、薬剤師にも相談することができます。