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市民公開講座 2014「うつ病を知る日」東京 抗うつ薬では治りにくいうつ病 東京女子医科大学東医療センター精神科 山田和男先生

うつ病の初期治療

一般的なうつ病(中等症・重症)の治療の中心は、薬物治療です。日本うつ病学会治療ガイドライン(2013)では、抗うつ薬として新規抗うつ薬(SSRI、SNRIなど)、三環系抗うつ薬(TCA)があげられ、自殺願望が強い重症の方には電気けいれん療法(ECT)が選択肢とされています。
抗うつ薬は効果が出るまでに時間がかかるといわれており、基本的に1種類を十分量・十分期間(6~8週間程度)服用して効果を判断することが大切です(図5)。


図5 うつ病初期治療で大切なこと

抗うつ薬による治療が目指すのは「寛解」で、うつ病の症状がほとんど、もしくはまったく消失した状態を指します。寛解していないと、社会機能に支障を来した状態が続き、再発・再燃のリスクが高いと考えられるからです。
しかし、最初に処方された抗うつ薬(第一選択薬)を十分量・十分期間服用しても、寛解に至る人は36.8%にすぎないというアメリカの研究結果が報告されています(図6)。


図6 最初に処方された抗うつ薬で寛解に至る人は少ない

STAR*Dと呼ばれるこの研究では、特定の抗うつ薬を14週間使っても寛解しなかった場合には抗うつ薬を変更したり、他の薬と組み合わせたりしましたが、それでも寛解したのは全体の70%にとどまりました。

治りにくいうつ病への次の一手

日本うつ病学会治療ガイドライン(2013)では、第一選択薬による治療が成功しなかった場合、抗うつ薬の増量や切り替え、増強療法、併用を行うことが示されています(図7)。


図7 第一選択薬による治療が成功しなかった場合の次の一手

抗うつ薬の増強療法

増強療法は、新規抗うつ薬に非定型抗精神病薬やリチウムや抗てんかん薬を併用する治療法です。
最初の抗うつ薬が効かなかった場合、切り替えるべきか、増強すべきか、日々の臨床で迷うことが多いものです。STAR*D研究では、第一選択薬で寛解しなかった場合の次の一手として、切り替えよりも増強療法の方が寛解率が高いという結果が示されており、Koehlerらの研究も同様の結果となっています。生物学的精神医学会世界連合(WFSBP)の単極性うつ病治療ガイドライン(2013)でも、抗うつ薬の切り替えより増強療法が推奨されています。
抗うつ薬を切り替える場合、前の薬をゆっくり減らしつつ、新しい薬を十分な量になるまで6~9週間かけて徐々に増やす必要があるので、効果が得られるまで時間がかかってしまいます。一方で増強療法は、最初の抗うつ薬を減らすことなく、1~2週間かけて非定型抗精神病薬を十分量まで増やします。そのため、比較的短時間で効果が確認できるというメリットがあります(図8)。


図8 切り替えと増強療法

先ほどお話したように、最初に処方された抗うつ薬で寛解に至る方は決して多くはありませんが、抗うつ薬には様々な種類がありますし、増強療法をはじめ、次の一手となる治療法があります。主治医と相談しながら、寛解に向けて治療を続けることが大切です。

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