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脳科学から見たうつ病

最先端の診療と治療薬の今後

うつ病などの精神疾患では、病気を診断するための客観的指標がないことが長年の課題となってきました。たとえば糖尿病や高脂血症の場合には、血液検査で血糖値やコレステロール値などの客観的な数値を示すことで、治療の必要性や治療の効果を確認することができます。残念ながらうつ病ではそのような指標がなく、診断は問診に頼らざるを得ませんでした。しかし近年、この状況は変わりつつあります。
2009年4月から客観的検査として光トポグラフィ(NIRS)と呼ばれる検査がうつ症状の鑑別診断補助に用いられています。これは頭皮に近赤外光を当てて反射して戻ってきた光を検出し分析することで、脳表面の血流を測定し、活動中の脳活動のパターンがうつ病、双極性障害、統合失調症のどのパターンと類似するかを調べる検査です。現段階ではまだ診断の補助に過ぎませんが、今後の発展が期待されます。
今後、NIRSをはじめとする脳機能イメージング技術(脳の活動性や機能性を視覚的に観察できる技術)の進歩により、客観的検査としての精度を高めるとともに、治療薬の効果予測に役立てることができると期待されています。
また、これまでは神経伝達物質のセロトニンとノルアドレナリンを標的とした抗うつ薬(SSRI、SNRI、NaSSA)が主流でしたが、ドパミンも標的としたセロトニン・ノルアドレナリン・ドパミン再取り込み阻害剤の開発が進められています。これは従来の抗うつ薬では効果が得られなかった「なにをしても楽しめない」といったドパミンが関与していると考えられる症状に効果が期待されます。ほかにも、ストレスを受けることで活性化するCRFと呼ばれる神経ペプチド(神経伝達物質あるいは調整物質として機能)の働きを抑制する薬剤など、これまでの抗うつ薬と異なる作用をもつ薬が開発されつつあります。

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