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うつ病ABC

7.女性のうつ病

妊娠・出産・子育て中のうつ病

妊娠・出産・子育ては女性にとって大きなライフイベントの一つですが、妊娠期や出産後(産褥期)はうつ病にかかりやすい時期でもあります。

妊娠期のうつ病
妊娠期のうつ病

妊娠期のうつ病有病率(ある時点で病気にかかっている人の割合)は6.5~12.9%*1といわれていますから、8~12人に1人が経験していることになります。妊娠初期に多くみられ、心理社会的要因(社会的サポートが不十分、予期せぬ妊娠、パートナーとの関係性など)が関わっていると考えられています。妊娠期のうつ病は、「産後うつ病」の危険因子と考えられているため、注意が必要です。出産をひかえた大事な時期ですから、簡単なセルフチェックを試してみて、不安や心当たりがある場合にはなるべく早く産婦人科や精神科で相談してみましょう。

*1 Gavin, N.I. et al. : Obstet Gynecol. 106, 1071-1083, 2005

マタニティ・ブルーと産後うつ病

出産後、ホルモンバランスが崩れ、軽い焦燥感、不眠、食欲不振、疲労、頭痛、涙もろいなどのうつ症状がみられるのは「マタニティ・ブルー(ズ)」と呼ばれ、通常1~2週間程度で治まります。しかし「産後うつ病」はより重く、入院が必要になるケースが多いのが特徴です。産後3~6カ月以内に10~20%の方にみられ、その要因には生物学的要因と心理社会的要因が考えられています。 生物学的要因として、ホルモンバランスの大変動があります。妊娠中はエストロゲンやプロゲステロンというホルモンが増加しますが、分娩によってこれらのホルモン量は急激に低下します。また、乳汁の分泌を促進するホルモンであるプロラクチンも、出産直後に一旦減少しますが、その後、授乳によって急激に上昇することが知られており、これら産後の性ホルモンの変動がうつ病と関連していると考えられています。

妊娠期間中の女性ホルモンの変動

一方の心理社会的要因としては、出産後の「母親」「育児」などの新たな役割への戸惑いや不安、夫やその他の家族との関係、経済状況、場合によっては出産に至る経緯(望まれる出産だったかどうかなど)などのストレスがあります。
うつ病でもっとも注意が必要なのは自殺ですが、産後うつ病の場合には子どもへの虐待や子どもを道連れにした母子心中に発展してしまう恐れがありますから、早期に発見して治療を開始することが必要です。過去にうつ病になったことがある場合、特に産後うつ病になったことがあると、発症リスクが高まると考えられています。うつ病の既往がある場合には、産婦人科の主治医の先生にもそのことを伝えておきましょう。産後うつ病を早期に発見する方法としては、イギリスで開発された「エディンバラ産後うつ病自己調査票(EPDS)」があります。産後の1カ月検診や新生児訪問時などに実施されている信頼性の高いテストですから、チェックしてみるとよいでしょう。ただし、正確な産後うつ病の診断には精神科を受診する必要があります。テストのスコアに関わらず不安を感じる場合には、産婦人科や精神科で相談してみましょう。

エディンバラ産後うつ病自己調査

産後うつ病にならないために、子育ての負担や不安を一人で抱え込まずに、周囲のサポートを上手に活用することが大切です。わが国では妊婦が実家近くの産院に移って出産し、産後しばらくの間、実家で過ごす「里帰り出産」の習慣があります。自分の両親に気兼ねなく産後のケアをしてもらえる環境は、特に初めて出産・育児にあたる女性にとって、不安や負担を軽減する効果が期待できます。また、各自治体では乳幼児のショートステイやヘルパー派遣など、さまざまな子育て支援事業が行われています。出産後の母親と赤ちゃんをケアする産後ケア施設も増えてきており、なかには自治体の補助が受けられる地域もあります。お住いの地域の支援制度について調べてみるとよいでしょう。

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