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脳科学から見た統合失調症

1.統合失調症は脳の病気です

1-3神経細胞とシナプス

図4.神経細胞の構造

神経細胞は樹状突起とよばれる神経情報の受け手にあたる部分と、細胞核(ここに遺伝子が詰め込まれています)を含む細胞体、および神経情報を伝える軸索とに分かれています(図4)。
神経細胞の軸索は、よく見るとほかの神経細胞に接着してはいません。
狭い間隙を挟んでシナプスとよばれる構造を形成しています(図5)。
このシナプスで次の神経細胞への情報の伝達がなされるわけです。
神経細胞が電気的に活性化されると、パルス状の電気活動は軸索に沿って伝わっていきます。
このパルスが神経の末端までくると、神経伝達物質とよばれる化学物質が放出されます。
放出された神経伝達物質は次の神経細胞の樹状突起や細胞体上にある受容体とよばれる構造に作用します。
このところはちょっとややこしいですが、脳での神経の情報伝達を理解する上で大切です。

図5.シナプスにおける情報伝達

このように脳の情報伝達は神経伝達物質とよばれる化学物質を介して行われるので、脳は電線でつながっている機械の電気回路よりも複雑です。
神経伝達物質の種類は、少なく見積もっても数十存在するであろうと推定されています。
統合失調症で注目されているのはこのうちのドーパミンとよばれる神経伝達物質です。
このドーパミンを含む神経細胞は脳のなかにバラバラに存在するのではなく、いくつかのグループをつくっています。ドーパミン神経の経路を図6に示しました。

図6.ドーパミン神経回路

1-4神経伝達と脳の働き

このようにして、情報が次の神経細胞に伝わるとどうなるでしょうか。
ある場合はその細胞を電気的に興奮させ、情報をさらに次の神経細胞に伝えようとするでしょう。 あるいは逆に興奮している神経を抑制することもあります。
受容体に結合した神経伝達物質は、受容体を介して細胞のなかのいろいろなタンパク質を活性化します。 その結果、細胞は新しい機能を発揮するようになります。 さらに情報の一部は遺伝子に作用して、新しいタンパク質の合成を導くこともあります。
われわれが日常生活を送っているときに、脳は身体の内や外からいろいろな影響を受けています。 痛みのような身体的な刺激もありますし、喜びや悲しみなどの心理的な影響のこともあるでしょう。 また、自分では気づかないような、からだの内部の不調であることもあります。
このような影響は脳にいろいろな様式で働いて、脳は新しい環境に適応しようとしていきます。
その基本中の基本がこの神経細胞による神経伝達かもしれません。 もちろん、これはきわめて分析的で、あまりに単純化した説明です。
実際は複雑なヒトの精神活動の変化を、ある一つの神経伝達ですべて説明することはできません。

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