職場におけるメンタルヘルスケア -事業者・上司の方へ-

メンタルヘルスケアの進め方

(3)メンタルヘルス不調への気づきと対応 ―「いつもと違う」に気づく―

職場におけるメンタルヘルス対策で特に大きな役割を果たすのが「ラインによるケア」です。管理監督者(上司)は職場環境などの問題点を把握して改善する役割を担うほか、部下からの相談に対応する必要があります。産業保健スタッフと協力して、部下が上司に相談しやすい環境や雰囲気を整えておくことが大切です。メンタルヘルス問題に早期発見・早期対応するための第一歩は、部下の「いつもと違う」変化にいち早く気づくことです。具体的には下記のような変化がみられます。

厚生労働省 独立行政法人労働者健康福祉機構『職場における心の健康づくり 労働者の心の健康の保持推進のための指針』、2013年より

「いつもと違う」と思ったら、まずは部下に声をかけてよく話を聞く(傾聴する)ことが肝心です。その上で産業医に相談するよう促すか、上司自身が産業医に相談するようにします。また、産業保健スタッフや事業場外資源への相談や受診を勧めるのもよいでしょう。

部下の異変に気づいて話を聞くことは管理監督者(上司)の大切な職務の一つです。傾聴の技術を学ぶための研修などを実施すると「ラインによるケア」の効果が高まることが期待できます。

精神科専門 産業医からのワンポイント・アドバイス 3
休業を未然に防ぐ

 メンタルヘルス不調の早期発見として、「いつもとの違い」に気づくことは確かに有効です。早期発見は早期治療、早期回復というプロセスの入口であり、休業せずに回復へ向かうことができれば、本人も職場も助かります。
 実際、職場でみかける不調者には大きく2つのタイプがあるようです。第1は不調であることを積極的にアピールして、休みたいときは自ら主張するタイプ、第2は不調を認めたくない、まして休むなんてとんでもないと考えるタイプです。後者の場合、勤務は乱れ顔色も良くないなど、周りからみていて心配ですが、声かけをしても、「どうぞご心配なく」という返答がかえってきます。このようなタイプは不安定就労からやがては休業になっていくケースが多いようです。
 休業を未然に防ぐためには、どうしても遅れがちなステップを早める戦略が必要で、そのカギは本人と上司の日頃の自覚、現実感にあります。自分の変化に自分で気づき、疲労や消耗の自覚とともに不眠、身体の不調が出てきた時点で休養をとり、上司に報告することです。たとえ自身の気づきが遅れても、上司の声かけを受け入れれば間に合います。さらに、上司の受容的な対応や部下の疲労と負担の調整に対する柔軟な対応など、セルフケアとラインケアが結実すると良い経過が期待できます。

表示モード モバイルサイト PCサイト
all for your smile