活用できる社会資源や制度

自立を支援する医療と制度

3-3 入院と退院

精神科への入院

「精神保健福祉法」によって、精神科病棟への入院にはできる限り患者さん本人の同意が必要とされるようになりました。現在では、入院している方の70%以上が本人の意思で入退院する「任意入院」によるものとなっています。しかし、医学的に入院が必要であっても、本人がそれを判断できない場合もありますので、厚生労働省が定めた「精神保健指定医」(通常「指定医」と呼びます)らの判断によって、以下のような入院形式がとられることもあります。

3つの入院形式

任意入院とは本人の意思で精神科病棟へ入院することです。精神科病院の病院管理者(院長など)は精神障がい者を入院させる場合、本人の同意に基づく入院に努めなければならないと、精神保健福祉法でも定められています。 医療保護入院とは本人が入院に同意していなくても、指定医が入院を必要と診断して最寄りの保健所長を経て都道府県知事に届出を出し、保護者もそれに同意する場合には、患者さんの健康を守る必要性から入院しなければなりません。基本的には体調がよくなり指定医の許可が得られた場合、あるいは保護者が退院を求めた場合に退院できます。
症状が激しく自傷他害(じしょうたがい)の恐れがあると警察から通報された場合、都道府県知事の指示により2 人以上の指定医の診断を受けます。その結果入院の必要があると診断され、保健所へ届出された場合は、本人や家族が入院に同意していなくても、知事による措置として入院しなければなりません。これを措置入院(そちにゅういん)といいます。

入院中の患者の権利

いずれの入院形式であっても、病院から入院形式や今回の入院の必要性について、文書による説明がなされることになっています。
また、入院中、本人は電話や手紙、面会などは自由に行えますし、買い物に外出することもできます。行動の制限や隔離(かくり)は治療のために必要な場合にしか行われてはならないことになっています。

退院請求の方法

もし本人が「退院したい」「入院させられているのは不当だ」「必要以上に行動を制限されている」などと感じたら、都道府県の知事や市長宛に書面を送り、退院請求や待遇改善請求をすることができます。退院が請求されると、各都道府県に設置されている「精神医療審査会」の委員が本人や担当医に面会し、入院の必要性を審査します。審査には約1カ月程度かかりますが、本人の人権と健康の双方から、適正な医療が行われているかどうかの行政判断が行われます。

各入院形式の相違
入院
形式
入院の必要性の判定 病院・病棟の条件 同意・措置 選択の要点 入院期間 退院または入院形式の変更の決定
任意 医師 一般精神病院、精神病棟 本人の同意 医療・保護が必要、本人の同意がある 制限なし 本人の意思による退院(ただし、例外規定あり*)
医療
保護
指定医
1名
一般精神病院、精神病棟 保護者の同意 医療・保護が必要、本人の同意がない 制限なし 医師の診断、判断による退院
措置 指定医
2名以上
都道府県の設置した病院または指定病院 知事の措置 精神障害による自傷他害のおそれがある 制限なし 指定医の診断、判断による退院
緊急
措置
指定医
1名
都道府県の設置した病院または指定病院 緊急の措置 精神障害による自傷他害のおそれがある 72時間以内 指定医2名以上による措置入院の必要性の判定
応急 指定医
1名
応急入院指定病院 緊急の入院 医療・保護が必要、意識障害・昏迷・身元不明 72時間以内

* 指定医の診察の結果、医療および保護のため、入院の継続が必要なときは72時間に限り、退院させないことができる。

メヂカルフレンド社『精神保健福祉ハンドブック』p.101より

厚生労働省による精神障がい者保険福祉施策の概要

図
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メヂカルフレンド社『精神保健福祉ハンドブック』p.84より改変

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