HOME > 暮らしと仲間 > すまいる君が行く! > 【地域】地域の一員として生きる力を

すまいる君が行く!、地域の取り組み、イベント

社会福祉法人一麦会、麦の郷

麦の郷、精神障がい者支援

リンク:麦の郷ホームページ地図

JR和歌山市から車で20分。心身障害者の共同作業所を出発点に、知的・身体・精神の3障がいを抱える人々の生活や労働を約30年に渡って支援してきた「麦の郷」。精神障がい者の社会参加支援はもとより、最近は不登校児やひきこもりの支援活動にも着手している「麦の郷」におじゃましました。

「麦の郷」の精神障がい者支援
麦の郷、理事長
「相談に来られたら、断れないのです」

伊藤静美さん(麦の郷障害者地域リハビリテーション研究所所長)

「偏見はただ“知らない”ということでした。」

田中秀樹さん(麦の郷理事長)

障害を抱えて困っている人と一緒に悩み、何が必要かを考える。---伊藤氏、田中氏の原点はいつもここにあった。知的・身体障害者に働ける場所を提供しようと1977年に最初の共同作業所「たつのこ共同作業所」を開設したが、それからまもなく、精神障害をもつ2人の姉弟と出会う。彼らの家庭は崩壊し、2人だけが残って、地域にも受け入れられない状況にあった。

麦の郷、伊藤静美さん

伊藤:当時は私たちも統合失調症=“暴れている人”というようなイメージしかなかったのですが、実際の彼らは暴れてはいない。何の障害なのかよくわかりませんでしたが、地域の人達は「こんな病気の子らだけ住んでいては困る。出て行って欲しい」と言う。「このまま一生入院させましょう」とも言われましたが、2人に「どこに居たいの?」と聞くと「たつのこに居たいよ」と言うのです。これが原点。私達は本人が選んだ居場所を作らざるを得なかったのですね。

麦の郷、田中秀樹さん1

田中:当時はこの地域にも精神障害に対する偏見があったし、第一、僕らにも(偏見が)あったのですよ。でもそれは、ただ“知らなかった”ということだった。当事者たちにはもちろん妄想とか幻聴もある。だけど、友達になると非常に素直で優しいし、気の利く面がいっぱいあるのですね。病気の面はあるが、正常な面もある。話をすれば理解しあえる人たちなんです。

伊藤:私達は当事者たちの健康な部分に注目しました。そこをどう強化するか、広げるかなんです。

当時はまだ、精神障がい者グループホームなどの制度がなかったが、スタッフを始め当事者の家族たちにも協力してもらって「ホーム」を急ごしらえする。行政が動く前に、住民から運動を起こす。それが30年間変わらない「麦の郷」のスタンスだ。精神障がい者家族会をつくり、精神保健法ができたのをきっかけに「むぎ共同作業所」(精神障がい者通所授産施設)と「麦の芽ホーム」(生活訓練施設)をいち早く開設(1988年)。同年、障害者の自立を目指すクリーニング工場を一般事業として立ち上げ、それを基に日本初の精神障がい者福祉工場を開所(1995)した。近年は不登校児問題にも取り組み、2002年はひきこもり青少年支援共同作業所「エル シティオ」を発足した。

麦の郷、田中秀樹さん2

田中:不登校の子どもの2~3割には何らかの精神的ケアが必要です。共同作業所をつくることで予防的な手立てに取り組めるわけです。

伊藤:ここへ相談に来られたら、断われないのです。悩んで、苦しんで、すがる思いで相談に来たのに、がっかりして肩を落として帰るかれらの姿を見たくなかった。制度がなければ作らせる。そのぐらいの意気込みは持っていますから、とにかく何でも一遍引き受けてしまう。「お母ちゃんらも頑張ってよ」って手伝ってもらいながらね。そんなことばかりだった。出会ったらもう、放っておけないんです(笑)。

ページの先頭に戻る

暮らしと仲間