HOME > 暮らしと仲間 > 精神医療ユーザー1000人の声 > 10 (薬物療法関連)薬のためにできたこと・あきらめたこと

精神医療ユーザー1000人の声

薬でできたこと・あきらめたこと

私たち、精神医療ユーザーにとって薬物療法は必要なものかもしれませんが、精神医療ユーザー同士の中では、薬物療法が生活の質の向上に本当に繋がるのかについて、疑問が出ることはしばしばあります。
しかしながら、周囲の人は私たちに「薬を飲んでいればよくなる」と何の疑問もなく話されます。そしてそれらが日常の基本となって、ユーザーの現状を作り上げているのだと思われます。
第1回の2005年調査では、「薬物療法がユーザーの人生の可能性を狭めている」といった調査傾向が出ました。たとえば、当たり前にある人間としての生活の権利でもある結婚において、既婚者で子供がいない理由の設問で一番多い回答は「薬の影響が心配」がトップでした。(既婚者である回答者62人中24 人。全体に占める割合は38.7%) ※2005年調査結果を参照
2006年の調査では、このような薬の影響を「人生の可能性と諦め」といった観点でもう少し調査を推し進めていきました。

1. 薬のためにできたこと

「薬のためにできるようになったもの」という質問に対して20%以上の回答があり、その内訳として、病気の治療311人(48.9%)、人付き合い251人(39.5%)、近距離の外出172人(27.0%)の順で多い。
この調査は設問に対して複数に回答ができる形をとっていますから、「病気の治療48.9%」に100%近く回答があってもおかしくないのですが、病気の治療に回答しなかった51.1%の人たちはどのように考えているのでしょうか?これらの数字から、病気の治療といったものの主な目的として「薬物療法 ≠病気の治療」といったものではない利用者ニーズが伺える数値と思えます。

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2. 薬のために諦めたこと

「薬のためにあきらめたもの」という質問に対して20%以上の回答があり、多いほうから、結婚232人(41.1%)、就職201人(35.6%)、車の運転187人(33.2%)、飲酒131人(23.2%)、出産・育児128人(22.7%)、異性との付き合い115人(20.4%)である。
諦めの中で一番多いのは結婚ですが、「結婚」とは人間としての人生を歩むひとつの大きな目標かと思われます。普通に恋愛や結婚また子育ての夢や希望があり、生きがいや目標が生まれていくのではないでしょうか? 私がはじめに述べましたが、実に結婚や子育てを諦めている精神医療ユーザーが多いことは、薬の副作用の調査(第8回「困った副作用と相談相手」参照)をみれば歴然ですが、これらの副作用は、薬が生む機能障害ともいえるでしょう。
また、結婚につきものの経済的な裏づけといわれる、「就労」を諦めたとの回答が2位になっていますが、就労を諦めなければならないことは実質結婚生活の資金がないことにも繋がると思えます。無論3位になっている「車の運転」は就労するときの最低条件ともいえ、生活の広がりと考えれば、車の運転ができなければ、自宅に閉じこもりがちな生活を余儀されなくなることにも繋がります。

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ごく普通の地域生活者に

この調査対象者は、地域の通院者が主であり、いわゆる地域生活者です。しかし、回答をみると、ユーザーの人生の可能性は薬の影響ぬきでは考えられません。また、治療は薬物療法任せになっていることも隠せません。
薬のため病気の治療が可能になり、病状が軽減されて人付き合いもできるようになり、近距離の外出も可能になるからこそ、社会環境に順応し対人関係が再形成されることも事実ですが、同時に「より良い生活を望んでいくこと」を希望することも増えていきます。
しかし、薬には副作用があり、副作用における身体症状が付きまといます。それらが原因のひとつとなり、経済的な基盤になる就労や就労に必要な車の運転も諦めざるを得なくなります。また、恋愛や結婚をしようにも、生理不順・インポテンツにおける機能障害が出てくれば、自己の人生を諦めるとこに繋がります。
生きるといったことには建設的な欲も必要です。それは病者であろうとなかろうと同じです。
よく社会からの要求で「精神病は治すもの」と定義され、精神病も治療は薬物療法が主軸となっています。しかし病気を治すといったことより、病気とどのように付き合い、一般的な社会生活を送ることを可能にする「病気がありながら生きる」という生き方を今一度見直すべきかと思われます。
鎮静効果が異常に高い薬、過度に多い薬を利用し、多くの副作用が出ていることが当たり前になっている毎日に見切りをつけ、自分の人生の可能性を追い求めるような薬物療法の選択をすることが、精神医療ユーザーとしての明日の生活を作るのではないでしょうか。

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