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精神医療ユーザー1000人の声

体重増加と性機能障がい

2006年に実施した第2回精神医療ユーザー・アンケート「ユーザー1000人の現状・声」のQ18で、薬物療法の副作用について調べた。その中で「体重が増えた」と答えた人が314人(33.4%)、生理不順(女性のみ)71人(23.3%)、インポテンツ(男性のみ)111人(17.7%)という結果が出た(第8回「困った副作用と相談相手」参照)。
この結果をQ19、 Q20、 Q21で詳しく考察したい。

副作用 - 体重増加について

Q19-1で体重増加を主治医に相談した人は、女性78人(60.0%)・男性87人(42.2%)と、体重増加の悩みはかなり深刻みたいだ。特に女性の方が気にしている傾向がみられる。
ただQ19-2をみると体重増加による服薬の中断は男性17人(8.2%)・女性18人(13.8%)と、僕が想像したよりかなり低率で、体重増加だけが原因で服薬を中断する人は思ったより少なかった。Q19-3で「他の薬に変えてもらいたい」は男性64人(31.8%)女性45人(34.4%)とかなりの人が薬の変更を希望している。

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2. 体重増加に苦しむ声

Q35「薬や注射について日頃思っていることを自由に書いてください」より
【副作用・体重増加】に関する記述式回答

  • とにかく痩せないかなあ。63kg→85kgになりました。
  • 薬を飲んで30キロ増えた体重! その後27キロ減量に成功したが就職してダイエットができなくなり、30代にはリバウンドを繰り返し、40代目前に脂肪肝が心配。薬のお陰で双極性障害は安定しているが太りすぎによる脂肪肝が気になる。
  • 太らなくなるような薬がもらえると、非常に助かります。

第2回精神医療・ユーザーアンケート「ユーザー1000人の現状・声」2006年調査報告書。
P100,NPO法人全国精神障がい者ネットワーク協議会発行

自由に書いてもらった記述式回答のなかから、体重増加に関する声をひろいあげてみた。
これをみても、向精神薬の最大の副作用の一つが体重増加だとわかる。

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副作用・ 性機能障がいについて

Q20では、性機能障がいや性欲低下等について主治医から質問されたことがあるかどうかを調べた。「質問されたことがある」は、男性53人(12.6%)・女性9人(5.1%)で、一割程度しか質問されていないことがわかる。この結果から主治医から性機能障がいのことについてはあまり質問されないという傾向がうかがえる。
また、Q21-1で主治医に性機能障がいについて自分から相談したかどうかを調べた。主治医が同性か異性かで相談のしやすさを調べたが、結果としては、主治医が男であろうと女であろうと相談しやすさはあまり変わらないということが出ていると思う。しかし同時に、男女とも3割以上の人が主治医に性のことを相談しているという結果が出ている。

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性機能障がいの服薬への影響

性機能障がいや性欲低下など性の問題の副作用によって服薬を中断した割合は、男性23人(12.2%)・女性5人(6.3%)であり、男性の方が深刻な問題ととらえているという結果が出ている。この数字(1割程度)を多いとみるか少ないとみるかは意見がわかれると思う。
また、男性60人(33.7%)・女性19人(27.9%)が薬の変更を望んでおり、約3割の人が変更を希望しているということがわかる。

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5. コメント

精神障がい者の薬を飲むうえでの最大の悩みは体重増加だと思う。僕自身、身長174cmで体重が最大で112kgまでなって、膝の関節を悪くし、もう正座も走ることもできなくなった。
向精神薬は食欲を増進するものがかなり多くある。その結果、体重増加による成人病を引き起こす人がたくさんいるのではないかと思う。精神障がい者の平均寿命は一般よりかなり低いと思われるが、それは体重増加による成人病のリスクの増大と無関係ではないと思う。
薬を飲むことによる性機能障がいについては、Q18(第8回「困った副作用と相談相手」参照)によると全体の4割の人が薬によるなんらかの性機能障がいがあることがわかった。ただ、この問題に積極的に関わって質問している主治医は一割程度しかいない。
性の問題は人間の三大欲求(食欲、性欲、睡眠欲)のうちのひとつに関わる。この問題に対して、製薬会社も精神科医ももっと配慮すべきだと思う。男・女とも約3割の人が性の問題で薬の変更を希望している。僕自身、ある非定型の新薬を飲んでいるがインポテンツの副作用に悩まされている。
体重増加と性機能障がいは向精神薬が持っている最大の副作用だ。これから開発される向精神薬にはこの問題に対して積極的に改善してもらいたい。

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