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精神医療ユーザー1000人の声

7 (薬物療法関連)服薬状況

精神科医療に薬はつきものですが、そのために副作用というリスクを背負いながらも日々過ごしているユーザーがほとんどではないでしょうか? 中には副作用によって「眠気」や「体重増加」などで苦しんでいる声も出ています。主治医から副作用の説明を受けないまま服薬しているユーザーもいるようです。副作用については書籍やインターネットで調べる手段はありますが、あくまでも一般的な副作用しか表記されていません。
その点をふまえ、私なりの考えも含めながらユーザーたちの服薬状況を解説させていただきます。

新薬と従来薬

「あなたの飲んでいる精神科の薬の名前は何ですか」という質問に対して一番飲まれている薬は新しいタイプの抗精神病薬として日本で最初に発売された「リスパダール」で202人、その他は372人でした。

その他の内訳については表にまとめ種類ごとに分けてあります(表を参照:Q13 その他・薬名種別集計)。
そのなかで先発品と後発品(ジェネリック)に分けてみると圧倒的に先発品を服用している人が多いです。後発品は「先発品と同じ成分、同じ作用」という触れ込みですが、実際に後発品に変更してみると「薬の効き目が悪くなった」などといった声があがっています。
確かに後発品は安価で医療費負担を軽減するという利点はありますが、人によって合う、合わないがあると思います。それは先発品でも同じことがいえるでしょう。

新薬は、大きく分類すると「双極性障害系(抗精神病薬)」、「うつ系(抗うつ薬)」に分かれています。基本的には単剤使用といわれていますが、主治医によっては新薬を何種類も処方することがあります。

後発品(ジェネリック)は、特許の切れた薬(先発品)と同じ成分を使っていますが、後発品では薬の認可において臨床試験の面が省かれており、「生物学的同等性」(注1)の項目があるだけで、先発品に無い物質(注2)が入っていたり、効果面では全く同じとはいえないともいわれています。

(注1)吸収・分布・代謝・排泄の資料等
(注2)厚生労働省では、後発品の審査は、先発品においても添加物薬品が変えられる場合があり、色や味、相乗・相互効果なども変わることがあるとしています。

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2. 薬に対しての自己意識

処方してもらった薬をきちんと飲んでいるかという質問について、前回2005年度版のユーザーアンケートと比較してみました。「医師の指示通り毎日きちんと飲んでいる」と回答した人が2005年度版では89.3%(*1)、2006年版では69.1%の回答でした。しかし「飲まないことが多い/全く飲まない」と回答した人が、2005年度版では1.0%(*1)、2006年度版では0.8%でした。

また、前回処方された薬が余っていることがあるかという質問については「余っている」が54.6%で半分以上が回答しています。
理由としてはさまざまで、「飲み忘れることがある」が52.7%と最も多いですが、「副作用が怖くて飲めないことがある」、「薬を飲むのが嫌でたまらない」、「薬の量や種類が多くて飲めない」、「効き目がないと思い、飲まない」など副作用や多剤処方に疑問をもち、薬に対しての不信感が出てきている回答ではないでしょうか?
これらの回答が前述した「薬をきちんと飲んでいるか」という質問に対しての「飲まないことが多い/全く飲まない」という回答の理由と結びついている気がします。また「わからない」という回答もありました。
2005年版では「薬の管理をどうしているか」の調査がされていますが、「自分で管理し、すべて自分で飲んでいる」が92%、「家族や世話人等が管理し、その指示で飲んでいる」が1.4%回答されています(*2)。その場合「自分が今どのような薬を服用しているのか」ということすら教えられていないと考えられます。
たとえ副作用と思われる症状が出ていても、本人はどのような薬を飲みどのような副作用があるか分からないのですから、主治医に説明したくても何と説明してよいかわからず苦しんでいるユーザーがいるのではないでしょうか?

その他では「多めに処方された」や「体調不良で飲めない」などが理由にあげられています。

*1 精神医療ユーザー・アンケート「ユーザー1000人の現状・声」2005年調査報告書,p85,精神障がい者九州ネットワーク調査研究会発刊(現:NPO法人全国精神障がい者ネットワーク協議会に移行)
*2 精神医療ユーザー・アンケート「ユーザー1000人の現状・声」2005年調査報告書,p75,精神障がい者九州ネットワーク調査研究会発刊(現:NPO法人全国精神障がい者ネットワーク協議会に移行)

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精神科ユーザーと他科の薬

精神科に通院しているユーザーの中には、他科の薬も同時に処方されている場合があります。このグラフは、同時に処方されている他科の薬を服用しているかという調査の結果を表しています。消化器系、高血圧、糖尿病等、主に内科系があげられています。その他では、耳鼻科系、泌尿器科系、婦人科系等の回答となっています。

これらはユーザー本人が精神科を受診する前に他科の薬を処方されていたか、精神科を受診した後に他科の薬を処方されていたかは定かではありませんが、後者の場合は精神科の薬の副作用における身体的ダメージの進行を抑えるため他科の治療薬を処方してもらっているケースが多いようです。精神科と他科を受診している場合、それぞれの主治医に「今自分がどのような薬を服用しているか」を伝える必要があります。精神薬の多剤大量により双方で同じような治療薬が処方されている可能性も否定できないからです。もし同じような薬が出ていた場合は双方の主治医と相談し、精神薬を減らしていかなければなりません。それが多剤処方の影響における命のリスクを減らす一つの方法だと思います。そしてそのことを手助けしてくれるのは、薬局で配布されている薬の手帳です。手帳をその都度主治医や薬剤師に提示することで、同じような薬の飲み合わせに気づいてくれます。

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4. コメント

今回この原稿を書くにあたって、「薬を服用する」という意味を深く考えさせられました。ユーザーは、精神薬を服用することで副作用以外のリスク(社会的偏見等)を背負っています。
しかし、薬を服用しなければ症状をとめることが出来なかったユーザーもいるのです。

特に通院する科が多ければ多いほど薬の量が増えるのは当然のことで、副作用をとめるために薬を処方してもらうということの繰り返しでまるでモグラたたきのようだと感じました。
またユーザーが通院している科の主治医たちは、それぞれの科でどのような薬が処方されているか知らない場合が多いのです。つまり病院間の横の連結がないため、同じような薬が処方されたりするのです。

また薬に対してのインフォームドコンセントをしない主治医も多く、主治医自身がその薬に対してのメリット・デメリットを知らないままに処方し、副作用や薬のリスクを指摘されてもどうしてなのか答えられずはぐらかされてしまう場合があります。それを解決するには、ユーザーが自分自身の病気のことを知り、どのような薬が処方されその薬についてのメリット・デメリットを勉強し、主治医任せの言いなり処方をやめませんか?
中には副作用や薬のリスクを指摘されると機嫌が悪くなる主治医もいますが、病気や処方された薬を理解することで副作用が出たときにはっきりいえる関係が必要です。結局ユーザー自身がどれだけ自己意識を高めるかによって病気や薬との付き合い方が変わってくるのです。

最後に薬には副作用がつきものです。しかしユーザーの本音は「副作用のない薬、いいかえれば、生命へのリスクが少ない薬を開発してほしい」ただそれだけです。

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