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精神医療ユーザー1000人の声

現状の声(調査)から見る就労

「障害者自立支援法」では、就労を強調しています。そこで、「あなた自身は、就労についてどのように思っていますか?」という質問(Q51)をアンケート調査の中で記述式でしてみました。記述式の回答に含まれる内容(気持ち)を拾い上げてみると、回答者の大半が就労を希望しているということが分かりました。中でも、14%の回答者が一般就労を希望しています。精神障がい者といえども、社会で何もしないでいることの辛さを、大半の当事者は味わっています。しかし、実際の就労者は4%と少ないのです。非就労希望者は9%です。諦めている理由として、年齢、体力・体調なども考えられますが、実際に就労を諦めているという人は少ないこともわかりました。また、国策の問題と考えている人も記述者の内10%いました。このことから自立支援法には素直に納得していない当事者像が見えています。

これから、就労に関する当事者たちの実際の声をご紹介します。

1. 就労希望者の声

  • 働くのは当たり前。(4)
  • 働かないと生活できない。(2)
  • 働くのはいい事だと思う。(2)
  • 社会に出て働くことは、素晴らしいことだと思う。
  • 自分にあった職業を選んで心地よく働くことが大切。
  • ある程度は働くべき。子供の為、孫の為。
  • 病識をもつために働いて失敗する事も必要。
  • 行く場所が無いより、仕事をした方が、張り合いが出て良いと思います。
  • 昔、働いていた職場への復職を希望する。
  • 出来れば、就職してゆとりのある生活して行きたい。
  • なるべく好きな分野で働けるべきだと思っている。
  • 条件が整えば働いてもよい。
  • 自分のできることを少しでも努力してやり、早く自立できるようになる事を望んでいます。
  • 早く就労し、経済的にも自立したいが情報が少なくて困っている。
  • 就労によってお金だけでなく、それなりの自信と社会経験も得られるので、その人なりに働くことは大切だと思う。
  • ある本で、どんな障害を持っている人もその人に見合った仕事をしないといけないという記述があって、私もその通りだと思っている。今は私自身、調子のいいときと悪いときの状態が激しいので今は、就労は無理だと思っているが、近い将来絶対に働きたい。企業は精神障がい者の雇用の受け皿をもっともっと作っていくべきだと思う。
※( )内は複数回答人数です

就労希望者の声(76人・13.9%)
(記述式回答一部抜粋)

第2回精神医療ユーザー・アンケート「ユーザー1000人の現状・声」2006年調査報告書。
p37?50,NPO法人全国精神障がい者ネットワーク協議会発行

「働くのは当たり前」や、「働くのはいいことだと思う」と前向きな意見が多かったことから、精神障がい者であっても、健康な思考力を持っているということが窺えます。
また、「就労によって、お金だけでなく、それなりに自信と社会経験も得られるので、その人なりに働く事は大切だと思う」という意見もありました。
真剣に就労を考えている意見や、「チャレンジすべきだ」とか「勤労の義務を果たしたい」という声もあり、世間一般では、精神障がい者は働かない、ぶらぶらしている、という悪いイメージが持たれていますが、実際には当事者なりに真剣に考えているということが、今回の調査で明らかになったと言えるでしょう。

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2. 就労者の声

  • 働いているが、きつい時休めない。
  • 働く場所があるので、幸せです。
  • 自分は働いているが、無理なことはやらない。
  • 就労は上手くいったが自己主張が出来ない。
  • 地域支援センターでピアスタッフとして働いています。他の企業への就労は自信ありません。
  • 生活の基盤・地域社会(職場)のまわりを通し、色々な性格をもっている人が多く感じられ、人間関係に苦しんでいる。病気をして、前回の職場(長期療養のため)を退職して、職種が変わったことで、他者に付いて、以前とは、目標、夢がなくなった。
  • 病気をオープンにしているので、細かく仕事を説明して、手とり足とり指導してもらっています。全員精神障がい者の働いている職場なので、チームワークがよく、安心して働けます。
  • 同僚の人が口煩くいやな思いになる時がある。もう少し給料をアップしてほしい。
  • もう30年以上今の仕事をしている。働くのは当たり前です。私の会社の上司は病気に理解を持っておられるので、働きやすい。それに、一般の方と対等に扱ってもらっている。
  • 働くのはしんどいが、無年金障害者なので、働かないことにはお金がない。お金がないと困るので働いている。

就労者の声(20人・3.6%)
(記述式回答一部抜粋)

第2回精神医療ユーザー・アンケート「ユーザー1000人の現状・声」2006年調査報告書。
p37?50,NPO法人全国精神障がい者ネットワーク協議会発行

実際に就労している当事者の声の要素には、「働いているが、きつい時休めない」・「無年金障害者なので、働かないと生活できない」という、金銭や体力面での悩みが含まれています。金銭で苦しむ当事者が多数いる事は今回の調査でも明らかになっています(参考グラフ参照)
就労に関してマイナス面ばかりが出ているようですが、中には、もう30年以上仕事している人もいたりします。「働くのは当たり前」「私の会社の上司は病気に理解を持っておられるので、働きやすい」それに、「一般の方と対等に扱ってもらっている」という、極めて好条件の就労者もいることが分かったのは嬉しいことであり、未来に希望が持てる意見だと思います。

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3. 就労非希望者の声

  • 無理に働く必要はない。(6)
  • 昔は無理して働いていたが、最近は無理してまで働く必要はないと思っている。
  • まだ働ける状態じゃない。現在の状態では就労は無理。
  • 家業の手伝いをしていますが、無理には働いてない。
  • 一般就労は無理だと思う。無理に働く必要はない。
  • 一般の健常者と仕事についていけない。
  • もちろん働けるなら働きたいが、現在の生活のリズムを崩してまで働こうとは思はない。
  • 現在子供が小さいので、なかなか仕事と家事をやって行くのは困難である。
  • 仕事を続ける自信がない。
  • 無理に働く必要はないと思う。なぜなら自立できないのが"障害者"だから。
  • 絶対働きたくない。こりごりだ。
  • 働きに行くと家の事ができない。
  • ゆっくり進めていければいいと思う。
  • 働くだけが全てじゃないと思うようになった。
  • 障害者にとって、就労はものすごく難しい。ただでさえ働くことはきついのに、病気を抱えながら働くのはちょっと無理。
  • 自分が働いて得たお金でもっと自由に暮らしたいと思うが、仕事をしようとすると寝込んでしまうので、自信が持てない。でも、諦めずに、いつか働けるようになりたいという希望は捨てないでおこうと思う。
  • 長く働くことも多分出来ないだろうし、人間関係がうまくいかないのが分かりきっている自分に、就労してメリットがあるとは思えない。
  • 母が老齢なので、めんどうを見なくてはならない。
※( )内は複数回答人数です

就労非希望者の声(50人・9.1%)
(記述式回答一部抜粋)

第2回精神医療ユーザー・アンケート「ユーザー1000人の現状・声」2006年調査報告書。
p37?50,NPO法人全国精神障がい者ネットワーク協議会発行

就労非希望者の声について述べておきましょう。障害者にとって、就労はすごく難しいことです。ただでさえ働くのはきついのに、病気を抱えながら働くのはちょっと無理に近いということです。これは大多数を占める精神障がい者の声の要素です。また、働いて再入院したとか、親が老齢で自分の病気と親の世話、介護等で働けないという現実もありました。理想は健常者の中で普通に働いていることですが、実際は難しくて出来ない現状への悲痛な叫びが記されていました。「障害のある人はやはり、障害のある仲間の中で働ける場があるといいと思う」という回答もあり、健常者とともにがんばって同等に働きたいというポジティブな意見は少なかったように思われます。

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4. 働く環境に関しての声

  • 働く環境が整っていない。(8)
  • 働きたいが働く環境が整っていない。(4)
  • 働きたいが働く職場(場所)がない。(5)
  • 働く場所(仕事)がない。(3)
  • 働こうと思っても精神障がい者が働く場がない。
  • 働く環境が整っていないし、精神科ユーザーである事を言ったらそれこそ働けるわけがない。
  • 普通の人のように企業で雇って欲しい。
  • 働くための手段を作って下さい。
  • 訓練を受けたあとの受け皿がない。精神の人も働ける環境を作って欲しい。
  • 自分は働きたいとは思うが、働き場所がない。偏見のない雇い主なら良いと思う。
  • 精神障害について理解のある職場が増えて欲しいと思う。一日8時間働く事はまだ自信がない。
  • 職場に障害者というのを理解してもらって働きたい。
  • 社会に出る自信があまりないが、働きやすいところがあれば働きたい。
  • 就労の意思、意欲はあるが、採用してもらえない。
  • 病気を理解してもらった上で働くのは良いことだと思う。理解してもらうことが大切だ。
  • 精神障がい者も企業で雇用されるという法定制度になりましたが、身体・知的の方達のように受け入れてくれる企業は少ない。薬の副作用、無理をすると病状の悪化。理解されるのが難しい。
※( )内は複数回答人数です

働く環境に関しての声(73人・13.3%)
(記述式回答一部抜粋)

第2回精神医療ユーザー・アンケート「ユーザー1000人の現状・声」2006年調査報告書。
p37?50,NPO法人全国精神障がい者ネットワーク協議会発行

働きたいが働く環境が整っていない・働きたいが働く場所がない。これが、精神障がい者の持っている隠された声の大多数だと思います。資格はあるが生かせる場がない・働く環境が整っていない・働きたくても、自分を受け入れてくれるところがないというのが現状のようです。ハローワークで断られてしまうという深刻な声もありました。また、障害をオープンで受け入れてくれる会社が少ないのも事実です。

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5. 社会理解に関する声

  • もし働きに行った場合、周辺の人に精神病者として見られるのが厭です。
  • 社会的な偏見が除かれない限り一般就労は無理だと思う。
  • 働く意志はあるが障害者というと断られる。
  • 障害者だということが分からないように働くことが、重要だと思っています。
  • 精神障がい者は精神薬の副作用等によって頭がボーっとして、眠気をもよおす等の理由により、健常者と同じ様に働けない人が殆どではないか?それを考慮しないで自立支援法を施行したのなら国でその事を考えて精神障がい者の就労のあり方を見直して欲しいと強く望む。又、精神障がい者は調子の良い時と悪い時の波があり、悪い時の就労に対するアフターケアも考慮して欲しいと思っている。
  • 働き始めて3,4日で調子を崩してしまった。1日2時間でもいいから障害者オープンで働きたいが、職場でイジメに会わないか心配。
  • 働く上で、職場の人間関係が苦手です。仕事での指導や説明は、出来るだけわかりやすくして欲しいです。
※( )内は複数回答人数です

社会理解に関する声(40人・7.3%)
(記述式回答一部抜粋)

第2回精神医療ユーザー・アンケート「ユーザー1000人の現状・声」2006年調査報告書。
p37?50,NPO法人全国精神障がい者ネットワーク協議会発行

精神障がい者にとっての一番高いハードル、社会不理解による差別偏見について、回答者の声を借りて述べたいと思います。病気、障害についての理解のある事業所は少なく、短時間で働ける仕事がなかなか無い。障害者を使うところは少なく、本人に働く意思はあっても、「障害者」というと断られ、すんなりいかない、という声が多く寄せられました。社会の偏見という壁が非常に厚いことが分かりました。
やはり、社会の全体的な偏見が除かれない限り、精神障がい者の就労は困難だと思います。またハローワークでさえ就労はうまくいかないという意見もありました。私達がすがるべきハローワークでさえ、このように理解が無いのですから、一般の会社等には簡単に就職など出来るはずもないと言えるでしょう。
さらにこんな声もあります。「精神当事者が法定雇用率に算定されるようになったのが2007年の4月からで、1週間に20時間以上でないとポイントがつかない」。この国策(障害者自立支援法)の不理解によるハードルは,本人たちにとっては物凄く高いという内容です。「障害者の自立を支援する」と謳っている国策でさえ,障害者たちの現実を理解していないということが窺えます。

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6. コメント

精神障がい者の就労を取り巻く、現実の問題を述べたいと思います。まず、年齢制限があります。40代、50代は、健常者でさえ、仕事に就くのは困難です。障害者には越えられない壁の一つでもあります。能力面では、仕事が理解できない、遅い、重労働が出来ないなどが挙げられます。体力が無いなか、就労に関して、再発、再入院などの恐れがあると答えている精神障がい者もいます。
最後に、今回の調査による結果から私の意見を述べたいと思います。障害者自立支援法が施行されましたが、現実には、精神障がい者を取り巻くさまざまな社会環境により、自立していくには、職場、環境、理解、と言う三つの条件が整わないと困難であるということです。また、服薬による副作用や、能力低下も病気の特徴であり、少しでも社会環境の改善を望むべく、色々な方々に障害者の現実を理解して欲しいものです。

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