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精神医療ユーザー1000人の声

2 生活形態、自立について

第2回目は、「生活形態と自立」についてです。2006年の1000人ユーザーアンケート調査結果のデーターと、その上で浮かんできた私の意見・感想を交えながら報告していきたいと思います。
まず、回答していただいた方の割合を年代別に見ていくと、30代から50代の人が83.9%を占めています。
あくまでも一般論ですが,30代という時期は、就職し結婚をして、新しい家庭を築きながら、新しい家族を迎えて仕事と,家族では子育ての時期だと言えるでしょう。40代では、仕事での責務がますます大きくなり、子どもは将来に向けての「夢・希望」を抱いて自立を考え、思春期特有の心が大きくゆれ動く時期でもあり、親子のかっとうもあり得るために、子育ての難しさもある時期と言えるでしょう。また50代では、定年とともに老後に向けての第二の人生設計を考え始める頃だと思います。
つまり、ライフスタイルの変化に伴い生活形態のみにとどまらず、「たったひとつだけの人格を持った人間」として、お互いにそれぞれ心の大きな変化も訪れて、親離れ子離れしていくのでしょう。

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一緒に暮らしている人は誰?

ところで、この調査から今まで閉ざされていたユーザーの生活形態が具体的なデーターとして、浮かび上がってきたことは注目すべき点です。複数回答ですが、一緒に暮らしている人として、母親とが48.2%、父親とが33.7%で、やはり親との同居が多いのです。しかし、一方でひとり暮らしのユーザーも26.3%と四分の一以上を占めています(図1:Q7)。このことは、「たとえ精神病をもっていても親から離れても生活していくことは可能」と言えるのではないでしょうか?
その他の回答でも、さまざまな同居形態がみられ、ユーザーたちの生活形態は、「健常者」と言われている一般社会にある同居形態と何ら変わらないと言えるでしょう。ユーザーも、地域の中で特別な存在ではなく生活しているのです。

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自立したい? したくない?

次に自立(ひとりだち) について見ていきましょう。家族から自立したいと思っている人が44.4%と,回答してくれた人数の約半数にのぼっています。反面、家族から自立したくない人が26.0%もいるのです(図2:Q8)。これは私の厳しい意見かもしれませんが、経済的にも精神的にも、ユーザー自身がすべて家族に頼っていた方が楽という気持ちが出て、「甘えの構造」も生まれているのではないでしょうか。だからと言ってユーザーだけを責めているわけではないのです。家族の方も精神病を患った人に対して、「私がいないと何もできないし何もかもしてあげないといけない」とユーザーの人格・個性・能力をも否定して、さらに、決めつけや押し付けをしてしまって抱え込み過ぎてはいないでしょうか? すなわち「共依存的な関係」を作ってしまっていると言わざるをえないでしょう。私は、たとえ、親子・兄弟姉妹であろうと、それぞれの生き方があるはずだと思うのです。

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3. 自立に必要なことは?

それでは、自立(ひとりだち) していくためには何が必要でしょうか? これも複数回答として、ユーザーにあげていただきました(図3:Q9)。やはりトップは「お金」があることが条件としてあがりました。次に「職場」が 66.9%、「仲間や友人」が60.6%という回答です。これらの回答を読み込んでいくと、ユーザーも就労できれば、お金が入ってくるし、職場でも新しい仲間や友人・知人もできると期待感は持っていると言えるのかも知れません。

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4. コメント

しかし、現実は「心の病」といわれる精神の病気を向精神薬を服用しながら、セルフ・コントロールしていくのが精一杯というユーザーは多いことでしょう。病状だけの苦しみだけでなく副作用にも苦しみ、未だに続く差別や偏見も根強く残っています。そんなユーザーに対して、今の格差別社会と言われている社会で何を持って自立と言うのでしょうか。そんな中で「障害者自立支援法」の強行施行を始めとする福祉サービスは後退して行く一方だと私は感じています。
私たちユーザーは、家族関係・医療・専門職などから人格を傷つけられ、自分だけの意見を持って行動することすら否定され「ひとりの人間」として扱われずに来ています。すなわち「生存権」をも奪われているような状況では、自信も失ってしまいます。
今の社会環境を見て行くと、確かに私たちユーザーにとって自立することは、あまりにも厳しい現実だと言えるでしょう。自立をしたくても、社会的に充分なサポート体制の整備がなされていないので、不安感も増強されて、自信をもてないまま自立できない人も多いのではないでしょうか。
しかし、ここでユーザーでもある私が、自立をためらっているユーザーの方に聞いてみたいのです。「あなたは一体何をしたいの? どうしていきたいの?」。そして同時に本当の自分自身の気持ちを封じ込めて欲しくはないということも伝えたいのです。“ほんのちょっぴりの勇気”を出してもらえたら、その小さな一歩が行動へとつながり、自立につながって行けると私は思っています。本当の自立「=ひとりだち」の意味は、みんながそれぞれ自分で考えて掴み取るものであって、ひとりづつ違っているものなのだと思っています。

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