HOME > 暮らしと仲間 > 精神医療ユーザー1000人の声 > 1 ユーザー・アンケートの目的と調査概要

精神医療ユーザー1000人の声

アンケートの目的と調査概要

最初は当事者自身が全国単位の統計調査をして調査報告書を出すことなど不可能に近いと思っていました。専門家がついて名前だけの当事者調査研究となるのが社会の常と思われがちですが、私たちは思考錯誤の連続の上、当事者自身で現在の第二弾の精神医療ユーザー・アンケート「ユーザー1000人の現状・声」調査報告書2006年度版の発刊に至る事ができました。 さて、第2回からはウェブで内容の一部をテーマ別に当会の調査研究員(精神医療ユーザー)がリレー連載によりご報告しますが、はじめに、私達の調査についてご説明させていただきます。

ユーザーによる調査作りとは

調査に欠かせないのが調査票の項目作りです。大切なことは、「自分たち(ユーザー)の視点で考え」、「自分たちが何を調べたい」を明確にすることにあります。まず、「日常の素朴な疑問」や「思い」を充分時間をかけ話し合って行くことから始まります。患者として生息している、毎日の生活実感(体験)に基づき作成され、調査委員の病名や病歴は多々渡るのでそのこだわりも大切にしています。色々な思いを煮詰めたものがアンケートに答えてくれる精神医療ユーザーから、本音の回答結果を生みます。また、アンケートに答えることにより、視点が広がることも意識して作成しています。アンケートを記載することにより「患者力」が上がることを常に意識しています。

ページの先頭に戻る

ユーザーによる調査研究の特徴

  • 営利目的ではない
  • 調査報告書を手にとった精神科医療ユーザーが自己評価し自己肯定しやすい。
  • 専門家の調査とは違う精神科医療ユーザーの視点と分析により、精神科医療ユーザーの置かれた現状が把握しやすい。
  • 専門家や行政からは聞くことができないことを、当事者ゆえに聞くことができ、結果的に社会から知られていないニーズを統計で示すことができる。それは今までの調査では不可能としていたことも調査できる多面的な可能性を持ち合わせている。
  • よくある調査(専門家に認められる切り口のない調査)ではなく、ユーザーだからできる調査をしている。
  • 当事者の視点による当事者による当事者のための調査研究を重ねることにより、精神科医療ユーザー(当事者)の生(なま)の生活ニーズを広く周知させることなり、行政・保健福祉・精神科医療などの関係者と精神科医療ユーザーの望む生活と一体したケアが得やすくなる。
  • 調査を通じ地域の一人ひとりの生の声を集約することは、サービス提供者を含む社会が持つ精神障がい者に対する無知による誤解を解くことにもつながり精神障がい者にとって生きていくことに必要な支援が得やすくなる。
  • 精神科医療におけるオーダーメイド医療が得やすくなる。
  • 「当事者が当事者のための調査活動」を継続展開することにより、失われた当事者の主権が取り戻されることにも繋がる。

ページの先頭に戻る

3. 調査目的

当事者本位の精神医療・保健・福祉の実現

これまでほとんど顧みられることがなかった精神医療ユーザー(当事者)の生の声を調査、集約し、その切なる思いと生活ニーズを広く周知させることにより、わが国の精神医療ならびに保健・福祉サービスを当事者本位へと転換していくきっかけづくりに資する。

  • 現実の医療や保健、福祉といった場においては精神科医療ユーザーが主体となったサービスの提供や当事者の力を生かすような関わりを作るため、ユーザーの生活の実態を把握すること。(支援法については、成立前から多くの問題点が指摘されている。まずは支援法によって障害者の生活がどう変化したか、実態を把握する必要がある。早急に障害者と福祉施設の実態調査を行い、問題点を洗い出す)
  • 国や自治体、医療などが生活実態調査やニーズ調査を行っているが、残念ながら、結果的には当事者自身が実感している生活実態やニーズとは程遠いものとなった。そこで、私たち精神障がい者自身が調査項目の作成から分析にいたる過程に精神科医療ユーザーの視点を生かした調査研究を実施し、ユーザーの生の声を調査集約し、広く周知させることにより、精神科医療ならびに保健・福祉サービスを当事者本位へと転換のきっかけを作る。
  • 調査報告書を通し、ユーザー主体の医療、保健、福祉サービスのあり方を各関係と共に連携検討し、当事者の力(患者力)を生かしたQOLの向上の提言をはかる。
  • 医療サービスにおいては、当事者の視点生かした研究によりオーダーメイド医療の推進を図る。

ページの先頭に戻る

4. 調査研究体制

本調査研究は、下記の体制で実施しました。
■特定非営利活動法人 全国精神障がい者ネットワーク協議会 調査研究委員会
委員(50音順):
副島寛朗・末田純子・岳藤美千・徳山大英
藤井伸洋・安河内由美子・山梨宗治・山梨洋子

ページの先頭に戻る

5. 調査方法

精神医療ユーザー・アンケート「ユーザー1000人の現状と声」2005年 調査報告書

実施時期: 2004年9月3日~11月30日
調査方法: (1)全国精神障がい者団体連合会福岡大会参加ユーザーへの集合調査
(2)全国の患者会・当事者会への郵送調査
調査対象: 精神医療ユーザー
配 票 数: 2500票
回答者数: 1010人(回収率40.4%)
調査項目: 基本属性、結婚・子育て、薬、医療機関、施設、就労、福祉サービス、精神障がい者保健福祉手帳、権利擁護などに関する項目(計68問)。

精神医療ユーザーアンケートユーザー「1000人の現状と声」2006年 調査報告書

I部精神医療ユーザーの自立と障害自立支援法の影響調査
実施時期:2006年7月15日~8月31日調査方法:全国の患者会・当事者会への郵送調査
調査対象:精神医療ユーザー
配 票 数:3000票
回答者数: 1049人(回収率 35.0%)
調査項目:基本属性、家族との状況、医療、福祉サービス・施設、就労・所得保障、国や地方自治体の対応、等々 記述式も含めて(計55問)

II部 薬物療法における精神医療ユーザーの生活影響調査
実施時期:2006年7月15日~8月31日調査方法:全国の患者会・当事者会への郵送調査
調査対象:精神医療ユーザー
配 票 数:3000票
票回答者数: 940人(回収率 31.3%)
調査項目:基本属性、処方・理解・服薬総体量等・残薬、副作用、後発品(ジェネリック)処方・理解、医療費の支払いの変化、薬物療法による生活の可能性と不可能性、等々 記述式も含めて(計35問)

ページの先頭に戻る

6. 調査研究経過

近年精神障害のユーザーを主体としたサービスやエンパーワメントについての重要性が広く認識されるようになりました。しかし、まだまだ現実の医療や保健、福祉といった場においては精神科医療ユーザーが主体となったサービスの提供や当事者の力を生かすような関わりが十分と言えません。これまで、国や自治体、医療、家族会などが生活実態調査やニーズ調査を行っていますが、残念ながら当事者の位置づけは調査対象としての関わりにとどまっており、結果的には当事者自身が実感している生活実態やニーズとは程遠いものです。
そこで2004年、精神障がい者九州ネットワークでは、全国の精神科医療ユーザーの方々の協力を得て、「当事者が当事者のための調査研究活動」を目的として精神障がい者のニーズ調査を、アンケート形式調査票を用い調査実施しました。
当事自身がこれほど広範囲にわたり調査を実施したことは、日本では例がなく画期的な調査といえます。私達当事者が尋ねることによって、普段ものを言わないユーザーがアンケート方式の調査に本音で答えてくれるため、具体的な内容がわかる、精神科医療ユーザー・アンケート「1000人の現状・声」調査研究をすることできました。 
本調査研究活動は、精神科医療ユーザーの視点を生かした調査研究を保健福祉医療などの専門家の協力も得ながら精神科医療ユーザー自身が調査項目作成から分析にいたる過程までも実施しました。その結果、昨年度調査では、多くのユーザーから回答が得られ現実的なユーザーの生の声を調査集約し、広く周知させることになりました。そのことにより当事者主体の医療、保健、福祉サービスのあり方を各関係機関と共に検討し、当事者の力を生かした生活の質の向上を図ることを目指しました。
この調査研究は精神科医療ユーザーのニーズを調査するとともに充実した生活をおくるための生活の質(QOL)向上について研究するものです。現在、精神障がい者九州ネットワーク調査研究会は平成17年8月4日NPO法人全国精神障がい者ネットワーク協議会注1に運営主体を変更し全国の幅広い層に検証を深めました。NPOゼンセイネット調査研究会(略称)より、第二回精神科医療ユーザー・アンケート調査を平成18年7月15日より、アンケート式調査票を全国の当事者会に郵送送付し実施しております。私たちが、2005年5月に発刊した、精神医療ユーザー・アンケート「ユーザー1000人の現状・声」調査報告書の研究を再度検討し、新たに必要な調査項目を精神医療ユーザー自身が精神医療ユーザーの視点にたった調査項目を設定し作成され、多くのユーザーから回答が得られるように実施されました。
注1:平成17年8月4日NPO法人として設立。平成18年8月8日に広域NPO認可

ページの先頭に戻る

調査研究会の現在の発展

現在、統計調査の研究ノウハウを大学院の教授より、講義をうけ、私たちは、調査の注文を外部からも受けられるようになりました。それは、当事者の視線で調査することに未知の可能性があることを周囲から指摘され、対応できるよう努力した成果かと思われます。無論、出前講師に多くのものが招かれた実績も関係したかと思われます。

ページの先頭に戻る