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すまいる君が行く!
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ホテル業を通じた就労支援プログラム
『ハートピアきつれ川』(栃木県さくら市)

3.就労への想いを胸に受講生らは日々精進する

卒業生たちの口から揃って出る「「ハートピアきつれ川での就労訓練があったからこそ今の自分がある」という言葉。その言葉には、当時を懐かしむ感情と共に、決して楽ではなかったであろう研修に対する想いが伝わってくる。プログラム研修中の作業現場で受講生たちの働く姿を追った。

受講生たちは、朝のミーティングが終わるとすぐに仕事にとりかかる。大浴場の清掃にはじまり、客室清掃、館内清掃にと、時間が限られている仕事を受講生たちはテキパキとこなしていく。ところがこれが思いのほか重労働。作業にとりかかって数分もすると、受講生の額からは汗が吹き出す。ちょうどハートピアきつれ川に社会科の体験実習で訪れていた中学生も「ここの作業は思っていたよりも大変ですね。掃除機もすごく重くて動かすのに苦労します」とこぼす。
受講生たちはどんな想いで研修に臨んでいるのだろうか。

吉澤 篤さん(プログラム受講生)

4カ月前に入所したのですが、思っていたよりここの作業は重労働で大変です。入所したてのころはへとへとに疲れてしまい、休みの日などは午前中寝てばかりいましたが、最近では休みの日でも早く起きるようにしたところ生活のリズムができて、調子がよくなりました。仕事は大変ですが、ここで働くと規則正しい生活習慣が身についていいですね。
ここに来てから、自分自身が病気を乗り越えていくという気持ちがとても重要なことだと強く思うようになりました。ここにいるメンバーとの触れ合いを通じて、苦手な人間関係を克服して、将来の就労につなげたいですね。

受講生の中には作業のやり方に独自の工夫を凝らすメンバーもいる。窓拭きのために自前の道具を揃え、鮮やかな手さばきで窓を丹念に磨き上げていく受講生の姿には、ただ言われたことだけをこなすのではなく、自分から率先して仕事に取り組もうという意欲がひしひしと伝わってきた。

小林 信和さん(プログラム受講生)

窓拭き用の道具を自前で揃えたんだけど、仕事は自分なりに工夫した方がやりがいがあるからね。ほれ、ピカピカになったでしょ(笑)。
もう50歳を越しちゃったから、普通の人だってこの歳になれば勤めるのが大変な時代でしょ。精神障がい者にはもっと狭き門だよね。手に職をつけて何とか働けるようになりたいと思って、今はここのプログラムの合間に勉強してチェーンソー伐木業務資格に挑戦しようと思っていますよ。

卒業後の就労に向けたさまざまな希望を胸に秘め今を頑張るー受講生メンバーらが黙々と働くその姿にはそんな想いが溢れていた。
「就労のための現場訓練と自己回復(自信を取り戻す)期間、そして継続的な就労支援体制(安心して相談できる関係性)がしっかりと保障されれば、就労できる当事者はたくさんいるはず。ハートピアきつれ川の取り組みは決して特別なものではありません。マンパワーと環境、そして失敗から学ぶ姿勢とその方の小さな変化を見守り大切に関わることは、全国の社会復帰施設や作業所で実現可能だと思います」と桶谷氏はいう。精神障がい者の就労に対する取り組みにようやく目が向けられつつあるが、全国各地で精神障がい者の就労に道が拓かれることを期待したい。

※このインタビューは2005年夏に取材したものです。

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