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脳科学から見た統合失調症

4.統合失調症の遺伝子研究

4-3統合失調症の遺伝子研究-関連研究と連鎖研究

病気に関連する遺伝子の研究は、関連研究や連鎖研究などの方法で行われます。 関連研究はあらかじめ関連が疑われる遺伝子を患者さんと対照群で調べます。
もし、患者さんのほうにその遺伝子が多ければ、その遺伝子そのものかあるいはその近くにある遺伝子が、疾患に関係する遺伝子(疾患遺伝子)であろうと想定します。 同じ遺伝子でもその中にある小さな塩基配列が異なっていたり(これを遺伝子多型といいます。 血液型のABOもその一種です)、あるいは同じ塩基の繰り返しの回数が異なっていたりすることがあるので、これを利用します。
この研究方法では、発症に関わってはいてもそれほど関与が強くない遺伝子でも見つけることができます。 研究の初期には、第2章で述べた統合失調症のドーパミン仮説に基づいて、ドーパミンの受容体・合成酵素・分解酵素などの遺伝子が調べられました。
そのほかに脳の情報伝達に関連しそうな多くの遺伝子が調べられましたが、それ一つで統合失調症の発病を決定するような大きな影響力を持った遺伝子は見つかっていません。 せいぜい、その遺伝子を持っていると発病率が少し高くなったり、逆に低くなったりする程度の影響力を持った遺伝子が見つかっているくらいです。
一方、連鎖研究はDNAマーカーとよばれる染色体上の位置を示すしるしを使って、マーカーと疾患遺伝子との位置を解析し、疾患遺伝子の染色体上の位置を探し当てる方法です。関連研究と違って、疾患遺伝子はあらかじめわかっていません。
この方法では、疾患遺伝子のおおよその位置がわかるので、その後その区間にある遺伝子を探していくことになります。
この研究を行うためには、多数の患者さんとそのきょうだいや両親からの遺伝子を調べさせてもらう必要があります。 現在世界で広く行われており、わが国でも独自の研究が多くの大学や研究所が協力して行っています。 今のところ、ある程度統合失調症の発症に関連している染色体上の領域が示唆されています。 しかし研究グループごとにその結果は一致せず、まだ研究は途中の段階です。 関連研究の結果と同様に、統合失調症に関係する遺伝子はあるかもしれないが、発病を決定づけるような大きな影響のある遺伝子は見つかっていません。
おそらく、これからもそのような決定的な疾患遺伝子は見つからないと思われます。 しかし、ひとつひとつの遺伝子はそれほど強い関係を持たなくても、ほかの多くの遺伝子との相互作用によって大きな関与が生み出される可能性も考えられます。

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