さまざまな支援

療育(治療教育)

自閉スペクトラム症の治療の基本は「療育」(治療教育)です。一人ひとりの子どもの状態や特性に合わせた療育のプログラムは、本人の力を引き出してできることを少しずつ増やし、生活上の困難を減らす助けになります。

療育は地域の療育センターなどの公的な施設のほか、病院やクリニックなどに併設された施設、民間の施設でも提供されています。受け入れ対象の子どもの年齢や料金などは施設によってさまざまです。児童福祉法に基づく「児童発達支援センター」、「児童発達支援事業所」、「放課後等デイサービス事業所」では「通所受給者証(受給者証)」が必要です。気になる施設があれば、まずは見学して実際の雰囲気を確かめてみましょう。その際、受給者証※が必要かどうかも確認し、必要であれば事前に手続きしておくと良いでしょう。

受給者証は、利用したい療育施設から利用開始の内定を得てから、お住まいの自治体の障害福祉課・保健センターなどに申請します。

療育によって本人が適切な支援を受け、同時に周囲が本人の特性について十分理解できるようになると、子どもは生活上の支障を感じにくくなり、自己肯定感が高まって二次的な問題(二次障害)の予防につながります(自閉スペクトラム症の「二次的な問題(二次障害)」を防ぐ)。療育を利用することで行動が変わったり、気になっていたことが目立たなくなったりしますが、自閉スペクトラム症の特性が完全に消失することはありません。「自閉スペクトラム症が治るのではないか」という保護者の過剰な期待や焦りは子どもに大きなストレスを与えてしまうことがありますので注意が必要です。じっくりと療育に取り組み、子どもの発達を見守ることが大切です。

集団療育と個別療育

集団療育は少人数のグループ(2~10名程度)でゲームをしたり、遊んだりすることにより、集団活動の中でのルールや、コミュニケーション力、社会性を身につけることができます。
個別療育は子どもと専門スタッフが1対1なので、一人ひとりの発達段階やニーズなどに合わせた指導を自分のペースで受けることができます。
療育の利用開始前に専門スタッフとよく相談して、その子にとって学びやすい療育を選ぶことが大切です。